残憶記

どう過ごしたか記憶が残らない日々を過ごしているわたしが、何かをしていたことを少しでも記録するブログ。

読書

小川一水『アリスマ王の愛した魔物』

小川一水『アリスマ王の愛した魔物』(ハヤカワ文庫、2017年12月)を読みました。 なんとなく読まないままにしていたけど、読んでよかった作品。 表題作も面白かったですが、より面白かった1作目が「ろーどそうるず」。 これは、人生(?)でした。 常に走り…

小川一水『天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれ』

小川一水『天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれ』(ハヤカワ文庫、2018年12~2月)を読み終えました。 part3が出てから一気に読みました。Ⅸまで育ててきた芽を収穫し、さらにⅩだけで全銀河的な広がりを見せたストーリーを見事に収束させて、大団円となりました。今ま…

麻田雅文『日露近代史- 戦争と平和の百年‐』

麻田雅文『日露近代史- 戦争と平和の百年‐』(講談社現代新書、2018年4月)を読みました。 グレート・ゲームという単語に惹かれ、ロシアの膨張主義とは何かを調べているうちに、ロシアの極東進出に関心が移ってきたため、本書を読んだ。 本書では幕末より194…

細谷雄一『安保論争』

細谷雄一『安保論争』(ちくま新書、2016年7月)を読みました。安保関連法成立時の論争から導かれた、日本の安全保障の課題についてまとめられていた。 まずは、安保関連法反対派が主張が極めて一国主義的な平和論であるという点で 他国への冷淡な態度は、憲…

米澤穂信『追想五断章』

米澤穂信『追想五断章』(集英社文庫、2012年4月)を読みました。 米澤穂信、久々に読みました。好きな作家なので、文庫が出たら買う気ではいたのですが、あとにしているうちにだいぶ時間が経っておりました。 主人公自身とその周囲、さらに時代設定と、重層…

宮下奈都『メロディ・フェア』

宮下奈都『メロディ・フェア』(ポプラ文庫、2013年4月)読みました。友人に紹介できる小説を探しているなかで手に取ったのが本書。 この著者の作品は2冊目です。終始、軽やかに語られた作品でした。 主人公結乃のゆるやかだけど、確かな成長を作中で感じら…

辻村深月『ツナグ』

辻村深月『ツナグ』(新潮文庫、2012年)読みました。死者との邂逅。辻村深月らしからぬ設定であり、映画化とか売れているとかで、 避けていた作品。結局読みました。 さすが、辻村深月。 それぞれの心得ごとに心を揺さぶられましたが、 後半に行くにつれ、…

辻村深月『V.T.R』

辻村深月『V.T.R』読みました。なるほど。チヨダコーキ。 スロウハイツの中でもよく言われていた、 「いつか抜ける」が感じられました。 感じさせてしまう作者、ホントすごいです。 どこか牧歌的でした。最後の最後まで切迫感を感じませんでした。 ティーの…

上橋菜穂子『獣の奏者 Ⅲ探究編&Ⅳ完結編』

上橋菜穂子『獣の奏者 Ⅲ探究編&Ⅳ完結編』読みました!いやあ、いつの間にかエリンに追い抜かれていました。 エリンにもイアルにも、もっと普通に幸せになってほしかった。 二人とも直接その身をもって歴史の真実にぶつかり、ベールを剥ぎとっていましたが、…

辻村深月『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ』

辻村深月『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ』(講談社文庫、2012年4月)を読みました。慟哭の書ですね。どうしようもないリアリティ。救うに救える余地を全く残さない、作者の徹底さにやられました。 ラストにもやられました。自ら招いたことでもあるが、何か他の意…

米澤穂信『二人の距離の概算』

米澤穂信『二人の距離の概算』(角川文庫、2012年6月)を読みました。 古典部シリーズの最新刊、ずっと積んでました。読むのが遅くなってすみません。 私、日常系のアニメはあまり得意ではないのですが、いわゆる日常の謎は好きなんですよ。全く違うものを並…

小山慶太『科学史人物事典』

小山慶太『科学史人物事典』(中公新書、2013年2月)を読みました。近代以降の科学者列伝です! 科学の進歩が脈々と続く科学者たちの交流のなかで生み出されてきたことがよくわかります。 私のお気に入りは、ラザフォード。恰幅がよく骨太感あふれる感じがと…

筒井康隆『日本以外全部沈没』

筒井康隆『日本以外全部沈没』(角川文庫、2006年6月)を読みました。面白いですねぇ〜 アイロニーが効いていました。 農協ツアーは、聞いたことはありましたが、実態はよく知りませんでした。 あんな感じなんですかねw 新宿祭とか、農協ツアーとか、万博と…

北方謙三『波王の秋』

北方謙三『波王の秋』(集英社文庫、1998年11月)を読みました。最も強く、水滸伝が思い起こされた作品でした。 闘い方が絶望的です。対話不可能性が極めて高い。 他の北方南北朝が、味方と敵の描写が書かれた上で対峙させるものであった一方で、 波王水軍が…

北方謙三『陽炎の旗』

北方謙三『陽炎の旗』(新潮文庫、1995年8月)読みました。『武王の門』の続編でしたが、続いていたのは登場人物だけだったように思えました。 この作品は、歴史に舞台を借りたハードボイルドです。 前作との差は、左京に出ています。夢を抱き、喰らわれる者…

北方謙三『武王の門』

北方謙三『武王の門』(新潮文庫、上下巻、1993年8月)を読みました。夢が遠ざかり、海が遠くなっていく。 北方南北朝の1作目です。 この作品のあとに書かれた北方南北朝に出てくる要素の ほぼすべてが垣間見える作品であったと思います。北畠顕家が持った夢…

北方謙三『破軍の星』

北方謙三『破軍の星』(集英社文庫、1993年11月)読みました!顕家は、とても柔らかな人物に感じました。 行動は激しいものでしたが。「民のために」という顕家の思いは、円心や正成にも共感されるものである一方、彼らのように老成していない想いは、とても…

北方謙三『道誉なり』

北方謙三『道誉なり』(中公文庫、上下巻、1999年2月)読みました。ばさらです。正成、円心とは違い、尊氏に最も近くにいた人物ですが、 ばさらっぷりは群を抜いています。悪党的な信念は、道誉も持っています。権威になびく、力になびくのではなく、ただ己…

北方謙三『悪党の裔』

北方謙三『悪党の裔』(中公文庫、上下巻、1995年12月)、読みました!北方南北朝で、私が手にしたのは『悪党の裔』が2作目です。赤松円心、闘い方が潔いですね! 悪党の意味を随所で考えさせられますが、己のみを信じる者こそ悪党です。 既存の権威体系が崩…

北村薫『鷺と雪』

北村薫『鷺と雪』(文春文庫、2011年10月)を読みました!ベッキーさんシリーズ最終作です。 最後の終え方は圧巻でした。鳥肌です。さすがです。 昭和初期の文化紹介といった感があり、いろいろと興味深く読めたシリーズでした。 騒擾ゆき。この言葉、ドキッ…

R・A・ハインライン『夏への扉』

R・A・ハインライン『夏への扉』(ハヤカワ文庫、2010年1月)を読みました!ホーガン巨人三部作後に、さらに名作と言われる作品に手を伸ばしてみました!面白かった!ホーガンのSFはハードSFというものなのですかね。 ハインラインは、SF的な装置を…

J・P・ホーガン『巨人たちの星』

J・P・ホーガン『巨人たちの星』(創元SF文庫、1983年5月)読みました!前2作とは、少々毛色が違いましたね。 わからないことを解き明かすというようなミステリー的な要素が薄まり、 スペースオペラ的でした!もっとも、最もアクティブな活躍を果たしの…

J・P・ホーガン『ガニメデの優しい巨人』

J・P・ホーガン『ガニメデの優しい巨人』(創元SF文庫、1981年7月)も読みました!『星を継ぐもの』の続編ということで一気呵成、読みました!ガニメアンが長大な時空を超えて、太陽系に帰ってきました! 彼らと科学者たちの対話、交流は、あまりにも理…

J・P・ホーガン『星を継ぐもの』

J・P・ホーガン『星を継ぐもの』(創元SF文庫、1980年5月)を読みました!現代人類までの生物的進化と月の形成、という二つの科学的課題を 太陽系を走り回るスケールのストーリーで取り明かしていく、有名なSF作品です。登場するのは、未知の謎との遭…

辻村深月『名前探しの放課後』

辻村深月『名前探しの放課後』(講談社文庫、上下巻、2010年9月)を読みました!!辻村深月、すごい。 彼女の作品を読むと、いつも泣きそうにさせられてます。今作の泣きポイントは、クライマックスでした。 登場人物に自己投影できる機会は減ってきましたが、…

瀧本哲史『僕は君たちに武器を配りたい』

ついに自己啓発、読んでしまったぁー。。。まあ、ともあれ、今の私に必要だったから、読めたのでしょう。瀧本哲史『僕は君たちに武器を配りたい』(講談社、2011年9月)を読みました。 社会観は、『ゼロ年代の想像力』に通ずるものがあります。「なにをするに…

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』(ハヤカワ文庫、2011年9月)を読みました。 私は文化評論に対して、アニメとか小説とかを無理やり一つの理屈の中で並べて整理整頓しちゃう、おせっかいなヤツという印象を持っていました。 だから、構えながら手に取ったのです…

野田昌宏『発動!タンポポ村救出作戦 銀河乞食軍団 合本版1』

野田昌宏『発動!タンポポ村救出作戦 銀河乞食軍団 合本版1』(早川書房、2009年6月)を読みました。おもしろいですねえ〜 買ってよかったです。読んでよかったです。スペースオペラとありますが、なんでもありなのが銀河乞食軍団。なんでもありだから宇宙…

柴村仁『4Girls』

柴村仁『4Girls』(メディアワークス文庫、2011年1月)を読みました。柴村さんは、『プシュケの涙』から読んでいます。 軽やか文章運びなんだけど内容がちょびっと重い、という感じに受けとっていますが、今作もそうでした。女の子に焦点を当てた作品ですが、…

野尻抱介『サリバン家のお引越し クレギオン4』

野尻抱介『サリバン家のお引越し クレギオン4』(ハヤカワ文庫、2004年5月)を読みました。宇宙での日常の難しさをひっそりと感じさせられるのが、お引越しの場面。 物理的には花壇という大荷物のために繊細なオペレーションが求められることになります。 …