残憶記

どう過ごしたか記憶が残らない日々を過ごしているわたしが、何かをしていたことを少しでも記録するブログ。

北方謙三『波王の秋』

北方謙三『波王の秋』(集英社文庫、1998年11月)を読みまし

た。

最も強く、水滸伝が思い起こされた作品でした。
闘い方が絶望的です。対話不可能性が極めて高い。
他の北方南北朝が、味方と敵の描写が書かれた上で対峙させるものであった一方で、
王水軍が闘う元は、どうしても並立できない、絶対的な敵として出てきます。
その「敵」の表象が、恐怖のために、恐怖を利用した膨張政策の具現である
「元水軍」という組織であるのが、脱人格的で不気味です。

最後は、なんとなく北方謙三にしては珍しかったのではないかと思います。
死しするか、確信をもって己が道を行く、のどちらかが多い気がしますが、
珍しく小四郎は、何か青春の匂いを纏っていました。

ついに、北方南北朝を読み切ってしまいました。
どれもよかったですが、特に好きなのは、『悪党の裔』の円心です。
一番熱かったです。

さあ、次は何を読もうかしら。

波王の秋 (集英社文庫)

波王の秋 (集英社文庫)